首の疾患で有名なものに頚椎椎間板ヘルニアがあります。
頚椎椎間板ヘルニアとはどのような疾患で、病院では何科を受診するべきなのでしょうか。今回はご紹介していきます。
頚椎椎間板ヘルニアとは?
頚椎椎間板ヘルニアを詳しく見る前に、まず頚椎を理解することから始めましょう。
頚椎とは人の背骨の一部です。
人の背骨には7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎があります。あと子どもの頃には5個の仙椎もありますが、成人するとひとつの仙骨となっています。
ですから頚椎椎間板ヘルニアとは頚部(=首の部分)の椎間板(=椎体の間にある板のようなもの)がヘルニア状態(=飛び出した状態)になったものです。
まずこちらが正常な脊椎の図です。
クリーム色っぽい骨が背骨で、ピンクの板状のものが椎間板、真ん中にある太い赤い筒のようなものが脊髄です。
そしてこちらが椎間板ヘルニアの図です。
ピンクの椎間板がぐにゅっと飛び出して、その先にある脊髄から枝分かれした神経を圧迫しています。
頚椎にしろ、腰椎にしろ、椎間板ヘルニアでは椎間板が飛び出して後方にある脊髄や神経を圧迫することによってさまざまな症状を引き起こします。
椎間板ヘルニアについては腰椎椎間板ヘルニアのところでも詳しく解説していますので、お時間があればお読みください。
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頚椎椎間板ヘルニアの症状は?
頚椎椎間板ヘルニアでは次のような症状が出現します。
まず頚椎の疾患なので首や肩周囲の筋肉のこりや痛みが起こります。
そしてここからが大事なのですが、頚椎の症状は頚や肩にとどまらず、腕や手(=上肢)、脚(=下肢)の症状としても現れます。
なぜ頚椎の疾患なのに腕や手、脚などに症状が現れるのでしょうか。それにはふたつの理由があります。
ひとつは腕や手の神経は頚椎の隙間をぬって伸びてきているので、当然頚部に何か問題があれば腕や手に症状がでます。
たとえば手や指のしびれかもしれませんし、腕や手の筋力低下かもしれません。
もうひとつは体で一番太い神経である脊髄は、首からお尻までつながっています。これは川に例えるとわかりやすいです。
脊髄を川に例えると、頚椎付近の脊髄は上流、腰椎付近の脊髄は下流になります。上流で汚染があれば(=椎間板ヘルニアなどの疾患)があれば、下流でも川は汚れますよね。(=腰椎レベル脊髄にも何らかの影響がでる)
腰椎レベルの脊髄に問題がでれば、そこから枝分かれする神経は下肢にいきますので、脚のしびれや筋力低下、歩行障害なども起こり得るのです。
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頚椎椎間板ヘルニアでは何科を受診する?
では頚椎椎間板ヘルニアは病院では何科を受診するべきなのでしょうか。
出現する症状を見ると、首や肩周囲のコリや痛み、上肢のしびれや筋力低下、下肢のしびれや筋力低下、歩行障害など、全身に行き渡りますのでわかりにくいですよね。
肩のこりや上肢・下肢の筋力低下、そしてしびれなどを感じたら、まずは整形外科を受診するのが自然な流れだと私は感じます。
ただしここからがちょっとややこしいのですが、実は頚椎椎間板ヘルニアは脳外科で取り扱われている場合もあります。
なぜ整形外科ではなく脳外科なのでしょうか。これにもふたつの理由があります。
ひとつは頚部が脳からすごく近い距離にあり、頚髄(頚部の脊髄)もも脳外科で取り扱っているから。
これは脳のスケルトンイラストですが、中脳、橋(きょう)、延髄(えんずい、アントニオ猪木の延髄蹴りでおなじみ)から頚髄はつながっています。
もうひとつは頚椎の手術は顕微鏡を使った細かい作業になることが多いのですが、そのような顕微鏡を使った細かい作業は整形外科医よりも脳外科医の方が得意だった歴史もあるようです。(※最近は整形外科医も顕微鏡を使った手術をてがけています)
結論としては、まず頚椎椎間板ヘルニアが疑われた場合、まずは整形外科を受診することをおすすめします。
手術が必要な場合には、脳外科で行われている病院もありますが、そのあたりは病院によります。
もしそれでも迷われるのであれば「首の症状なのですが、どちらの科を受診したらいいですか?」と行く病院が決まっていれば電話で聞くのが確実でしょう。
以上、頚椎椎間板ヘルニアについてでした。