腰は頭や手をなど上半身と、骨盤や脚など下半身をつなぐ要所です。生まれてから死ぬまでに80%の人が腰痛を経験するというデータがあります。それほど腰には負担がかかりやすいのです。
そんな腰の解剖学を一緒にみていきましょう。
人の腰の骨
腰の骨のことを腰椎(ようつい)と呼びます。
腰椎は脊椎(せきつい)と呼ばれる、いわゆる背骨の一部です。
成人の背骨は上から7個の頚椎(けいつい)、12個の胸椎(きょうつい)、5個の腰椎があります。子どもは腰椎の下に仙椎(せんつい)があり、大人になるとくっついて仙骨(せんこつ)になります。
腰椎は椎体(ついたい)と呼ばれる主要となる部分に、横突起や上・下関節突起が角のように飛び出しています。
細かい解剖は医療従事者でなければ覚えなくてもいいので、ある程度の形だけでも覚えてください。
そして上と下の椎体の間にヘルニアで有名な椎間板(ついかんばん)があります。
下の図の丸に囲まれた数字は胸椎、腰椎の何番目かを表しています。
【腰椎を正面から見た画像】
【腰椎を右から見た画像】
【腰椎を後ろから見た画像】
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人の腰椎の筋肉
腰椎は体幹(たいかん)と呼ばれるお腹周りの筋肉によって支えられています。体幹の筋肉を考えるときには前方・側方・側方から後方、後方の4つに分けると理解しやすいです。
体幹の前方の筋肉
体幹の前方には腹直筋(ふくちょくきん)という筋肉があります。腹直筋はいわゆる腹筋のこと。「目指せシックス・パック!」ってやつですね。
【体幹前方の筋肉】
腹直筋はアウターマッスルといって、外側にある筋肉です。
体幹側方の筋肉
体幹の側方には腹斜筋という筋肉があります。
腹斜筋には外腹斜筋(がいふくしゃきん)と内腹斜筋(ないふくしゃきん)があり、外腹斜筋の方が表層にあります。
【体幹側部の筋肉】
表層には外腹斜筋があります。
外腹斜筋をめくると内腹斜筋が現れます。
体幹の側方から後方の筋肉
側方から後方の深部には腹横筋(ふくおうきん)があります。(※図は先ほどの前方の筋肉の図を参照)
腹横筋は腹部のインナーマッスルとして近年注目を集めています。インナーマッスルは姿勢保持やダイエットに効果があるといわれています。
体幹の後方の筋肉
体幹の後方はいわゆる背筋と呼ばれる筋肉ですね。背筋はひとつの筋肉ではなくいくつもの筋肉の総称です。大きく分けると背骨に沿って縦長に伸びる筋肉と、背骨に付いている短い筋肉の2種類があります。
【体幹後方の筋肉】
こちらは一番表層です。
表層では僧帽筋(そうぼうきん)や広背筋(こうはいきん)などに覆われています。
僧帽筋と広背筋を取り除いてみましょう。
背骨の両側に下後鋸筋(かこうきょきん)や胸最長筋(きょうさいちょうきん)、腰腸肋筋(ようちょうろくきん)が現れます。ちなみに下後鋸筋の『鋸』という字はノコギリの漢字ですね。
さらに深層にいきます。
ここでは胸腸肋筋(きょうちょうろくきん)、胸棘筋(きょうきょくきん)、多裂筋(たれつきん)が見えています。
最深層です。
ここまでいくと先ほどお話したように、背骨に付いている棘間筋(きょくかんきん)や横突間筋(おうとつかんきん)が姿を現します。
背骨周囲の短い筋肉は大きな力はありませんが、姿勢保持には大変重要な役割を果たします。「山椒は小粒でもぴりりと辛い」って感じですね。