腰部脊柱管狭窄症を図で解説!どんな病態で原因は?どんな治療があるの?

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腰部脊柱管狭窄症を図やイラストでやさしく解説します。腰の症状だけど腰じゃないってどういうことなのでしょうか。その病態や原因を探ってみました。

 

目次

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腰部脊柱管狭窄症とは?

腰部脊柱管狭窄症を知る前に理解すること。それは「腰部の脊柱管がどこなのか?」です。そりゃそうですよね。どこに起きている疾患がわからないのに病態を理解することなんてできませんから。

腰部は腰のことです。これは大丈夫でしょう。問題は脊柱管です。

脊柱管は脊椎にある柱のような管と言い換えることができます。

具体的にどこにあるかというと、こちらのイラストをご覧ください。

これはいわゆる背骨を横から見た図です。これだとわかりにくいので、5つの腰椎だけ取り出してみます。

さらにこの中から第1腰椎を取り出して上から見てみます。

人の脊椎(=背骨)を上からみると椎間孔という穴が開いています。いまは第1腰椎だけを見ているので単なる穴ですが、第2腰椎、第3腰椎と重なっていくと、この穴が縦につながるトンネルと作ります。

そのトンネルこそが脊柱管で、脊柱管には脊髄が通っています。

ですから腰部の脊柱管付近にある脊髄や他の神経が狭窄されて(=狭まって)、何らかの症状がでるのが腰部脊柱管狭窄症ということになります。

腰部脊柱管狭窄症の診療ガイドラインでは腰部脊柱管狭窄症のことをこう紹介しています。

腰部脊柱管狭窄症では,腰椎部の脊柱管あるいは椎間孔(解剖学的に椎間孔は脊柱管には含まれていない)の狭小化により,神経組織の障害あるいは血流の障害が生じ,症状を呈すると考えられている.

引用) 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011

腰部の脊柱管の狭小化によって神経に加えて血流の障害も考えられるんですね。

 

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腰部脊柱管狭窄症の原因は?

では腰部脊柱管狭窄症はなぜ起こるのでしょうか。

日本脊椎脊髄病学会の脊椎脊髄病用語事典では次のように書かれています。

「脊柱管を構成する骨性要素や椎間板,靱帯性要素などによって腰部の脊柱管や椎間孔が狭小となり,馬尾あるいは神経根の絞扼性障害をきたして症状の発現したもの.

引用)脊椎脊髄病用語事典

まず最初に挙げられているのが骨性要素。椎間孔を構成する骨が変形したりして狭小化することによって神経の狭窄を起こします。それ以外にも椎間板や靭帯なども狭小化にはかかわってきます。

この図では右が正常な脊柱管と脊髄、左が病的な脊柱管と脊髄を表しています。少しわかりにくいですが、正常な脊柱管では黒っぽいところがきれいな横長の楕円になっていますが、病的な方では少しへしゃげた感じになっています。その原因が骨の問題などによるということです。

もうひとつ注目して欲しいことがあって先ほどの文章には続きがあります。

しかしながら,現在のところその成因や病理学的な変化が完全には解明されておらず,定義についても上記のごとく,さまざまな意見がある.

引用)脊椎脊髄病用語事典

つまりまだまだ分からないことが多いってことですね。

腰部脊柱管狭窄症で悩む人の年齢は中高年が多いので、年齢による変性の影響はありそうです。

 

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腰部脊柱管狭窄症は病院で何科を受診すればいいか?

腰部脊柱管狭窄症は病院では何科を受診すればいいのでしょうか。

腰部の、しかも神経や骨の問題が大きいので、受診するとすれば整形外科になります。

レントゲン撮影の他、MRIや造影剤を用いた撮影で診断されるのが一般的です。

ですから町の整形外科医院(クリニック)に最初は受診すればいいのですが、町の整形外科医院にはMRIがないことが多いので、必要であれば大きな病院を紹介されるか、大きな病院に行ってMRIだけ撮影してくるように指示があると思います。

 

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腰部脊柱管狭窄症の症状は?

腰部脊柱管狭窄症では必ずしも腰の痛みがでるとは限りません。「腰部」なんて書いているので、腰の症状がありそうですが、実はない場合も多いのです。

腰部脊柱管狭窄症で一番特徴的な症状は間欠性跛行です。

間欠性跛行の「間欠性」とは「一定時間をおいて」という意味ですね。間欠泉といって、一定間隔で熱湯が吹き出す温泉がありますが、それの間欠と同じ意味です。

「跛行」とはwikipediaにはこう書かれています。

跛行(はこう、lameness)とは、外傷、奇形、その他の疾患により正常な歩行ができない状態。

引用) wikipedia「跛行」

これらを足すと間欠性跛行とは「一定間隔で正常に歩けない状態になること」をいいます。

腰部脊柱管狭窄症の患者さんが「休んだらまた歩けるんだけど」とよくいわれます。間欠性跛行がでて、足が動きにくくなると少し休めばまた歩けるという意味です。

腰部脊柱管狭窄症では安静時には症状がでることはないのですが、歩いたりしていると下肢(太ももや膝から下の部分)にしびれや痛みがでます。しびれや痛みは休息をとれば改善してまた歩けます。

前屈すると脊柱管がリリース(開放)されるので下肢の症状が軽減するのも特徴ですね。体を前にかがめて、腰をトントン叩いているのは理にかなっているのです。

逆に背中を反ると脊柱管が狭小化するので、下肢の症状はさらにひどくなります。腰部脊柱管狭窄症で、腰に手を当てて体を反っている中高年の表情が厳しいのはそういうことです。

その他、ひどくなると排尿障害がでることもあります。

 

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腰部脊柱管狭窄症の治療は?

ほとんどの場合、まずは保存療法が選択されます。

保存療法では薬物療法(血流や神経の伝達を良くする薬)や、リハビリテーション、コルセット、痛いがひどい場合には神経ブロックを施行します。

最近はよい薬が使われていますので、軽度から中等度の症状の腰部脊柱管狭窄症であれば、痛みやしびれは軽減することが多いですが、最悪手術をする可能性もあります。

 

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腰部脊柱管狭窄症のリハビリは?

腰部脊柱管狭窄症のリハビリでは筋トレやストレッチの運動療法、生活指導などが行われます。

ただし運動療法自体は殿部や下肢のしびれや痛みに対しての改善が主であり、腰部脊柱管狭窄症の病態自体を改善する(例:狭窄を大きく改善する)効果は期待しない方がいいかもしれません。

たとえばインターネットで検索すると「腰部脊柱管狭窄症を治せる」と謳っている治療法や民間療法が散見されますが、腰部脊柱管狭窄症自体を治しているのではなく、周辺症状が改善したとみるべきでしょう。

あと脊椎マニピュレーションにもエビデンスはないので効果があるのかどうかは微妙ですね。

同じく接骨院や整形外科で行われる牽引療法や低周波治療も効果があるという確証はありません。

 

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腰部脊柱管狭窄症にサポーターは効果があるの?

腰部脊柱管狭窄症に対するサポーターの効果を検証した文献はなかったのですが、コルセットを使った試験では歩行距離が伸びたり、痛みが軽減したようです

そういう意味では痛みが強く、歩行距離が制限されたり、生活に支障をきたしているのであれば一度サポーターを試してもいいのではないでしょうか。

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