膝痛の代表的な疾患である変形性膝関節症の患者は、予備軍を含めれば1000万人以上といわれています。
今回は変形性膝関節症についてご紹介します。
膝の痛みを知るには必ず目を通してくださいね。
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症の原因には肥満や筋力低下があります。つまり膝関節に過度な負担が加わり続けると起こります。
発症する年齢は中年以降で、女性に多い疾患です
変形性膝関節症は読んで字の如く、膝関節が「変形」する疾患です。
変形するのは主に軟骨ですが、症状が進むと骨にも変形をきたします。
そしてその変形にともなって痛みが発生するのですが、痛みがあると動くのが億劫になり、運動量の低下→筋力低下→痛みの増悪→運動量の低下・・・という負のスパイラルを引き起こします。
スポンサードリンク
膝関節の骨の隙間はどれくらい?
膝の痛みがあり整形外科を受診して変形性膝関節症が疑われると、必ず膝のレントゲンを撮影します。
こちらが正常な膝(右脚)のレントゲンです。
膝関節は太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨で構成される関節ですが、その骨の間には少し隙間があります。(黄色矢印)
この隙間は空洞ではく軟骨や半月板があるのですが、レントゲンでは写りません。
次に変形性膝関節症の人の膝のレントゲンを見てみましょう。
誰が見てもわかるように、先ほどの正常な膝のレントゲンよりも、関節の隙間が少ないですよね。
このレントゲンを見ると、軟骨や半月板がすり減っていることがわかります。
これをイラストにするとこんな感じです。
左は普通の膝関節で、右が変形性膝関節症の膝関節です。
左の膝関節の関節面には白く覆われている軟骨がしっかりありますが、右の膝関節では軟骨はすり減って、ところどころ骨がむき出しになっています。
変性とは「悪くなっている」と考えてください。
そして骨棘(こつきょく)と呼ばれるとげ状の骨も出現しています。骨棘は過度なストレスが加わり続けることによって出現します。
スポンサードリンク
変形性膝関節症の痛みの原因は軟骨じゃない!
変形性膝関節症では痛みの原因を次のように説明されることが多いです。
「軟骨がすり減って痛みがでます」
この表現はかなり不適当だといえます。
実は軟骨には神経がありません。ですから軟骨がいくらすり減ろうと痛みを感じないのです。
でも変形性膝関節症のほとんどの人が痛みを訴えます。
変形性膝関節症の痛みの原因を中尾はこう伝えています。
実際に痛いを感じているのは関節包や関節周囲の神経を含んだ組織であり、それらが炎症や刺激を受けて痛みは誘発されています。
厳密に書くと、関節部の骨には神経がないので痛みは基本的に感じないのですが、軟骨下にある骨の中には血管(骨髄内小脈)があり、その血流が阻害されることで鈍い痛みを感じる場合もあります。
引用) 変形性膝関節症のリハビリ治療
軟骨が痛みを感じているのではなく、軟骨以外の周辺組織が痛みを拾っているということですね。
スポンサードリンク
変形性膝関節症の治療と予後
変形性膝関節症の診断を受けると、初期には湿布や痛み止めなどの薬物療法と、理学療法士による運動療法が行われます。
軽度の痛みであれば改善することも多いですが、軟骨自体は自然に増えるわけではありませんので、痛みとにらめっこしながら生活する人も多いです。
薬物療法や運動療法で効果がない場合には、人工膝関節置換術といって膝関節を人工の骨に置き換える手術が行われます。
実は日本では人工膝関節置換術の手術を受ける人が年間10万人近くいます。周辺組織と聞くと大ごとのようですが、治療成績が良いので医師は手術をすすめることも多いです。