肘関節は肩関節ほどメジャーな関節ではありませんが、実は人が生きていく中で非常に重要な役割をしています。そんな肘関節の運動学について一緒にみていきましょう。
人の肘関節はなぜ存在するのか?
肘関節がなかったら私たちの生活がとても不便になります。なぜだか分かりますか?
答えは肘関節がないと手が顔に届きません。意外かもしれませんが、実はそうなんです。肘関節が曲がるからこそ、私たちは顔を洗えますし、歯も磨けます。
もし疑うなら一度試してみてください。肘関節をピンとつっぱったまま手を顔に持っていこうとしてみてましょう。絶対に顔に触れることはできませんし、まして歯を磨いたりごはんを食べたりできません。
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人の肘関節の運動学の基礎
肘関節は上腕骨と橈骨・尺骨の間の関節で、蝶番関節に属する一軸性の関節です。ただし蝶番関節の中でもらせん関節と呼ばれる関節になります。
これは覚えなくてもいいのですが、実は肘関節はまっすぐ曲げることはできません。その証拠に肘関節を深く屈曲すると、肩関節の前に手を置くよりも、少し内側(大胸筋の方向)に手を置く方が楽です。これがらせん関節と呼ばれるゆえんです。
では肘関節の運動について詳しくみていきましょう。
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人の肘関節の屈曲と伸展
肘関節は一軸性なので、運動としては屈曲と伸展しかありません。
屈曲は肘関節を曲げる運動で、伸展は伸ばす運動。これだけです。
参考可動域は屈曲145度、伸展5度です。
肘関節の屈曲に主に働く筋肉は上腕二頭筋、上腕筋、腕撓骨筋、補助的に働くのは円回内筋、手関節の屈曲(掌屈)筋群です。
一方、肘関節の伸展に主に働くのは上腕三頭筋、補助的に働くのは肘筋、手関節の伸展(背屈)筋群です。
肘関節は曲げるか伸ばすかのシンプルな動きしかできませんので覚えやすいと思います。
最後に肘関節屈曲・伸展の基本軸、移動軸、参考可動域は以下の通りです。
引用) 関節可動域表示ならびに測定法(リハ医学 32:207-217,1995,一部改変)