遠赤外線サポーターに効果はあるの?医療人が伝えたい本当のこと

サポーターで遠赤外線効果を宣伝しているものがありますが、本当に効果があるのでしょうか。今回は遠赤外線にまつわる本当のことをお話ししていきます。

 

赤外線とその温熱効果は?

赤外線の温熱効果うんぬんを語るまえに、赤外線とは何かを先に理解しておく必要があります。ただし私は物理学者ではありませんので超がつくほど詳しい説明はできません。

医療従事者として赤外線をどう考えるべきか、そのあたりをできる限りわかりやすく説明します。

まず赤外線とは電磁波の一種です。電磁波と聞くと難しく感じますが、私たちの身の周りには電磁波を利用したものがたくさん存在します。

たとえばレントゲンで使われるX線もそうですし、FMラジオで使われる超短波もそうです。もっと身近なものでいうと電子レンジはマイクロ波の一種であるミリ波を使って温めています。

光も実は電磁波の一種で、「見える光」である可視光線の限界領域に紫と赤があって、その外側に紫外線と赤外線がそれぞれ存在します。


画像引用) 前田喜朗:遠赤外線加熱の特質と応用について.素材物性学雑誌,第1巻第1号96~106(1988)

X線や超短波、マイクロ波、光の違いは波長にあります。

 

そしてその遠赤外線の浸透度(どれくらいの深さまで浸透するか)ですが、前田はこのように解説しています。

赤外線は物体内部までよく浸透するので効果的であるとよく言われているが,実際面での熱拡散率と考えあわせても浸透深さは2mm程度までと言われている.

引用) 前田喜朗:遠赤外線加熱の特質と応用について.素材物性学雑誌,第1巻第1号96~106(1988)

そうなんです。もし体に赤外線を直接当てたとしても2mm程度しか浸透しないので、よくヒーターこたつのCMでいわれているような「体の芯までホカホカ」なんてありえません。

もちろんグリルで鶏肉を中までジューシーに焼き上げることもできませんよ。

これは物理学では当たり前のことですし、物理療法を少し勉強していれば知っている事実です。ですから理学療法士は体の深部を暖めたいときに赤外線は使いません。

 

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遠赤外線効果のサポーターってどうなの?

ここまでくればもうお分かりと思いますが、遠赤外線仕様のサポーターの効果と疑問点について以下にまとめていきます。

遠赤外線サポーターには深部まで暖める効果はない

繰り返しになりますが、遠赤外線サポーターには体の芯をまでポカポカさせる効果はありません。つまり遠赤外線仕様のサポーターをしても芯からポカポカ暖まることはないでしょう。

遠赤外線の効果は本当にないの?

「でも遠赤外線のサポーターをつけているとなんとなく暖まるような気がする」という人がいます。実はそれはそれで間違っておらず、一定の暖かさを感じます。

少しややこしいのですが、遠赤外線協会のホームページに遠赤外線により暖かさを感じるメカニズムについてこのように書かれています。

人が遠赤外線を受けて暖かいと感じるのは、先ず衣服の温度が上がり、身体からの放熱が減ることがあげられます。衣類に覆われていない肌の部分では、遠赤外線が皮膚表面層で(表面から深さ0.2mmくらいまでの間で)吸収され、人体の皮膚層を構成する各種分子の熱振動が活発になります。人体には血流があり、体熱の移動、平均化が生じますが、照射部分の流入エネルギー増加による人体からの放熱減少により、全体として温感向上がもたらされると考えられます。皮膚温度の(微妙な)上昇もあり得ます。

引用) 非営利・一般社団法人 遠赤外線協会 FAQ(よくある質問)Q:5

つまり遠赤外線を受ければ体の表面は衣服や皮膚は暖まって、それが血流により体の熱が移動して全体として暖かくなる可能性はあるということです。

サポーターが本当に遠赤外線を放射しているのか?

これが一番疑問なのですが、そもそも「遠赤外線」と宣伝しているサポーターから遠赤外線が発せられているのでしょうか。

国民生活センターが行った調査でもメーカーにこんな苦言を呈しています。

組成表示が実測値と異なる銘柄があったので、正しい表示が望まれる。また、遠赤外線素材等を用いて暖かいと強調されている銘柄の中には綿100%の普通地の肌着よりわずかに暖かい程度のものもあり、暖かさの表示が誇大と思われるので、適切な表示が望まれる。

引用) 国民生活センター 「薄くて暖かい」などという女性用肌着の比較テスト結果

つまり本当に遠赤外線が発せられるような組成になっている商品でも、実測すると成分が異なっているものがあったようですし、他の素材(生地)に比べて特段暖かくないものもあったようです。

 

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まとめ

遠赤外線サポーターについてご紹介してきました。

「遠赤外線」と聞くと何か効果がありそうな気がしますが、体の芯から暖める効果はありませんし、商品によって組成すらあやしいものもあります

そういう意味では遠赤外線サポーターにも過大な期待をすることは禁物で、「表面が暖まればいいか」と考えるくらいがちょうどよいのかもしれません。